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透析中止後の余命は何日?終末期患者の予後の症状や寿命を調べてみた。

人工透析,画像

東京都内の病院で、人工透析治療を中止し亡くなった患者への対応が日本透析医学会のガイドラインから逸脱していたという問題が話題になっています。

透析治療の中止をやめるとどうなるのか?

そもそもやめるという選択肢があるのか?

など様々な疑問が浮かんでくるニュースですね。

そこで今回は、人工透析を中止した患者の余命や予後の症状を調べてみました。

人工透析治療とは

人工透析治療とは、腎不全の末期症状において腎臓の働きの一部を人工的に行う治療方法です。

まず、腎臓の主な働きは以下の通りです。

  • 尿を作る
  • 血液を作るホルモンを作る
  • 血圧を安定させる
  • ビタミンDを活性化させる

特に尿を作り体外へ排出することで、老廃物を排出したり、体の中の水分量やミネラルや血圧の調節、丈夫な骨を作る、といった仕事をしています。

人工透析ではこれらの働きを人工的に代行するために、

  1. 腕の血管を透析につないで血液を体の外に一度取り出し
  2. 余分な水分や老廃物を取り除き
  3. 必要な物質を補充し
  4. 血液を再び体内に戻す

という作業が行われます。

こうした血液透析は通常、通院が週3回、治療時間は各4〜5時間に及びます。

高齢患者はもちろん、若い方でもハードな治療スケジュールなんですね。

透析を受けた患者は、疲れが出て腰が痛くなったり、針を刺す痛みを強く感じたりすることもあるそう。

しかし、近年は薬や機器の進歩で患者の負担が軽減されつつあるといいます。

1950年代に実用化され、国内では1967年に健康保険の適用になり、1972年からは更生医療(現・自立支援医療)により自己負担が軽減されているため、広く普及している治療方法です。

透析中止患者のSOSが物議に

現在物議となっているのが、東京都内の病院における人工透析治療中止問題。

問題が起きた場所は、東京都福生市と羽村市、瑞穂町で構成される福生病院組合が運営する「公立福生病院」。

2018年8月に、外科医が腎臓病患者の女性(当時44歳)に対して人工透析治療をやめる選択肢を示し、自ら中止を選んだ女性が1週間後に亡くなったとされています。

病院によると、この女性の他にも30代と55歳の男性患者が治療を中止し、55歳の患者が亡くなっていることが分かっています。

日本透析医学会が2014年に発表したガイドラインでは、透析治療中止の基準について「患者の全身状態が極めて不良」「患者の生命を損なう」場合に限定されています。

病院を監督する東京都は、この病院の対応がガイドラインから逸脱しているとして立ち入り検査を行なっています。

女性が亡くなるまでの経緯を時系列でまとめると…

  • 女性はこの病院で受診前に約5年間、近くの診療所で透析治療を受けていた
  • 2018年8月9日、血液浄化用の針を入れる血管の分路が詰まったため、病院の腎臓病総合医療センターを訪れる。
  • 外科医は首周辺に管を挿入する治療法と併せ「死に直結する」という説明とともに透析をやめる選択肢を提示
  • 女性は「透析は、もういや」と中止を選ぶ
  • 外科医は夫を呼んで看護師同席で念押しし、女性が治療中止の意思確認書に署名
  • 女性は「透析をしない。最後は福生病院でお願いしたい」と発言(センターの腎臓内科医談)
  • 2018年8月14日、女性が「息が苦しい」と14日に入院
  • 2018年8月15日、女性が「透析中止を撤回したい」と発言(夫談)し、夫は治療再開を外科医に求める。
  • 外科医は、女性が「こんなに苦しいのであれば、また透析をしようかな」という発言を数回聞いたが、治療再開ではなく苦痛を和らげる治療を実施。
  • 2018年8月16日午後5時過ぎ、女性が亡くなる

外科医は「正気な時の(治療中止という女性の)固い意思に重きを置いた」と説明しているそう。

しかし、2018年3月改定の厚生労働省の終末期向けガイドラインでは医療従事者に対して医学的妥当性を基に医療の中止を慎重に判断し、患者の意思の変化を認めるよう求めています。

病院から透析中止を提案することはなく、意識を失った患者の家族からの中止希望を受けたり(本人が過去に書いた事前指示書を参考に話し合う)、本人の意思で決定することはあるそうです。

亡くなった女性は、透析を中止しなければ約4年間生きられた可能性があったといいますが…

ネットでは、外科医について賛否の意見が多く挙がっています。

そもそも医師側から透析中止を提案することがいけないみたいですが、個人的には選択肢を提案すること自体はアリなんじゃないかなあと思ってしまいます。

その中で、その後の撤回についても柔軟に対応できるような環境があったらよかったのかもしれませんね。

ただ、患者の意思がコロコロ変わることに対応するのには機材から人の準備もやりきれないと思いますので、なかなか簡単にルールを決めるのも難しいでしょう。

終末期患者の透析中止後の余命は何日?寿命を調査

終末期患者が透析を中止すると、余命は何日ほどになるのでしょうか?

先ほどの女性は2018日8月9日に透析中止を決定し、2018年8月16日に息を引き取っています。

9日の前にいつ透析治療を受けたのかは明らかになっていませんが、中止決定から7日間後に亡くなっているのです。

海外の事例報告では、透析中止後の平均死亡日は透析中止後の7.8日後で、中央値は6日。

79.1%の患者は、透析中止後10日以内に死亡しているようです。

北海道での集計報告では、透析中止後の平均死亡日は5.4日とされて1週間以内とされています。

透析中止後の死亡はがん末期患者などとは異なり、急速に到来するものいえます。

透析中止後の予後症状とは

透析中止すると、どのような症状が現れるのでしょうか?

先ほどの女性は、透析中止決定の5日後に「息が苦しい」と入院していました。

国内外の症例を調べてみると、人工透析を中止すると、死に至るまでに現れる症状は実に多彩でした。

確認されているのは、

全身の倦怠怠感、嘔気、嘔吐、不安、興奮、イライラ、呼吸困難、筋痙攣、 疼痛、混迷、妄想、意識障害、喪失…

などといった症状です。

先ほどもお話しした通り、透析を一旦中止すると患者の死は間を置かずに訪れます。

急速に死が近づくため、患者の体への負担も相当なものとなります。

高須克弥さんもおっしゃっていましたが「透析中止は安楽死ではない」ということを多くの人に認識していただきたいですね。

家族,画像

まとめ

人工透析の中止について、中止後の余命や予後の症状についてをまとめてみました。

透析中止後の余命は、平均して透析中止後の7.8日後に亡くなっている例がほとんどですので、寿命は10日以内と言えますね。

予後の症状は非常に多彩で、病院側が柔軟に対応するのも非常に難しいと分かります。

何れにせよ、医師の意思で選択するものではありませんので、セカンドオピニオンであったり、患者側に寄り添う対応が必要ですね。