女子フィギュアスケートで圧倒的な強さを誇るロシア選手。
近年活躍している選手のほとんどが”エテリ勢”と呼ばれるエテリ・トゥトベリーゼコーチの門下生です。
エテリコーチはロシアでは「鉄の女」と呼ばれ、厳しい指導方法で有名なコーチです。
また、厳しい指導法だけでなく「選手の使い捨て」も噂されています。
今回は、エテリ・トゥトベリーゼコーチのプライベートから指導方法、使い捨ての噂についてお届けしていきたいと思います!
エテリ・トゥトベリーゼコーチってどんな人?
まずは、エテリコーチの簡単なプロフィールや経歴を紹介させていただきます。
エテリコーチの簡単プロフィール
- 名前:エテリ・トゥトベリーゼ
- ロシア語表記: Этери Георгиевна Тутберидзе
- ラテン語表記::Eteri Georgievna Tutberidze
- 生年月日:1974年2月24日
- 年齢:45歳(2019年時点)
- 出身地:ロシア・モスクワ
- 職業:ロシアのフィギュアスケートコーチ
5人兄弟の末っ子として生まれたエテリコーチ。
血筋は1/2がグルジア人、1/4がロシア人、1/4がアルメニア人です。
エテリコーチの経歴
自身もフィギュアスケートの経験があるエテリコーチ。
元々はシングル選手でしたが、後にアイスダンス選手に転向。
18歳の時にアメリカに移住し、6年間居住した経験があります。
Ice Capadesで3年ほどアダージョペアスケーターとして参加したのち、アメリカでコーチに転身して4年ほど働きました。
その後、ロシアに帰国してモスクワのゼレノグラードにあるアイスホッケーのリンク“Serebrianyi”で指導を開始し、フィギュアスケートのシニアトレーナーとなりました。
後にベースリンクを移り、モスクワの”SDUSSHOR 37″というスポーツクラブでセルゲイ・デュダコフ氏と共にロシア選手の指導に当たるようになりました。
(”SDUSSHOR 37”は2013年に”サンボ70”と統合されて”サンボ70 フルスタリヌイ(クリスタル)”となりました)
数々のトップ選手を輩出し、ロシアのスポーツ省から「コーチ・オブ・ザ・イヤー」を受賞したこともあります。
エテリ・トゥトベリーゼコーチの現在の教え子一覧
エテリ・トゥトベリーゼコーチの現在の教え子は何人くらいいるのでしょうか?
現在指導している主な選手は以下の通りです。
- モリス・クヴィテラシヴィリ(2009年 - )
- アレクセイ・エロホフ(2011年 – )
- ダニエル・サムソノフ(2016年 – )
- アリーナ・ザギトワ(2015年 – )
- アレクサンドラ・トゥルソワ(2016年 – )
- アンナ・シェルバコワ(2013年 – )
- アリョーナ・コストルナヤ(2017年 – )
- エリザヴェート・トゥルシンバエワ(2012年 – 2013年、2018年 – )
- カミラ・ワリエワ(2018年 – )
- ダリア・ウサチョワ(2018年 – )
- マイア・フロミフ(2019年 – )
- アリョーナ・カニシェワ(2019年 – )
これでも一部の選手ですが、ざっと見てもかなりの人数をみていることが分かります。
世界大会でもメダルを獲っている選手ばかりですね…!
エテリ・トゥトベリーゼコーチの元教え子がコーチを変更した理由とは
エテリコーチはこれまで多くの選手を育ててきましたが、近年は優秀な選手がどんどんその手を離れていってしまっています。
ここでは、元教え子がコーチ変更をした理由などを紹介させていただきます。
エテリコーチの元教え子一覧
エテリ・トゥトベリーゼコーチの元教え子は以下の通りです。
- ユリア・リプニツカヤ(2009年 – 2015年)
- エフゲニア・メドベージェワ(2007年 – 2018年)
- ポリーナ・ツルスカヤ(2013年 -2018年)
- アナスタシア・タラカノワ(2017年 – 2018年)
- ダリア・パネンコワ(2016年 – 2018年)
- セラフィマ・サハノヴィッチ(2014年 - 2015年)
- ポリーナ・シェレペン(2000年 -2012年)
- ポリーナ・コロベイニコワ(1999年 – 2000年)
- アディアン・ピトキーエフ(2010年 -2016年)
- セルゲイ・ボロノフ(2013年 – 2016年)
- イリヤ・スキルダ(2014年 – 2018年)
リプニツカヤ選手やメドベージェワ選手など、こちらもトップ選手ばかり。
2018年は、エフゲニア・メドベージェワ選手に加えて、ポリーナ・ツルスカヤ選手、アナスタシア・タラカノワ選手、ダリア・パネンコワ選手と、あわせて4人の有望選手がエテリコーチの元を離れています。
将来を嘱望された女子選手たちの旅立ちに、エテリコーチも複雑な思いがあることでしょう。
元教え子・メドベージェワがコーチ変更をした理由とは?
2018年の平昌五輪では、ザギトワ選手との「エテリ勢ワンツーフィニッシュ」が話題となったエフゲニア・メドベージェワ選手。
彼女は2007年、7歳の頃から11年にわたってエテリコーチに指導を受けてきましたが、2018年になり羽生結弦選手と同じブライアン・オーサーコーチに師事することを明らかにしました。
コーチ変更の理由についてメドベージェワ選手は詳細を明かしていませんが、ロシアの国営メディア「RT」がエテリコーチの話としてこのような情報を取り上げていました。
メドベージェワ選手がエテリコーチに「本当にザギトワ選手をもう1年、ユースに留めることはできなかったのか」と要求した。
自身が五輪で金メダルを獲るために、エテリコーチにザギトワ選手をユースに留めることを要求したということです。
しかしこれに対し、エテリコーチは「チャンスはどの選手にも平等にあるべきだ」と答えたそうです。
当たり前ですね…
ロシアのメディアは、メドベージェワ選手のコーチ変更はザギトワ選手のオリンピック出場をめぐって師弟間で確執が生まれたことがきっかけだとしています。
「これまでは自分につきっきりだったのに…」と、ザギトワ選手とエテリコーチと練習を共にするのが辛かったのかもしれません。
メドベージェワ選手には、新天地で再度輝く姿を見せてほしいです!
エテリ・トゥトベリーゼコーチが「使い捨て指導」や「怖い」と話題に
ロシアの女子フィギュア選手を多く指導してきたエテリコーチですが、その指導方法について「使い捨て」「怖い」と話題になっています。
使い捨てとは一体どういうことなのか、「怖い」と言われている原因に迫ってみたいと思います!
エテリコーチの「使い捨て」ってどういうこと?
フィギュアスケートファンの中で噂されているのは、エテリコーチによる「選手の使い捨て」です。
どういうことかというと、エテリ組の選手たちは他のコーチの門下生に比べて選手生命がとても短いのです。
もともと選手生命が短いと言われているフィギュアスケート。
エテリコーチの教え子を見ていると、
10代の新星現れる!→大きな大会で金メダル→新たな新星現る!→その前に話題になった選手はどこへ…
というループが繰り返し行われています。
エテリコーチは若くて才能のある選手を見つけたらとことん指導してトップに持っていきます。
その選手が年齢を重ねて不調になったら、新しい若手に乗り換えて…という印象がありますね。
これが「選手の使い捨て」と言われる所以でしょう。
エテリコーチは「若い内に活躍してさっさと引退するのがいい」と語っていますので、1人の選手を長く育成する気がないのかもしれません。
2018年はメドベージェワ選手がザギトワ選手に抜かれたと思ったら、2019年には”ロシア3人娘”が出てきてザギトワ選手が引退を発表することとなりました。
しかし、一生懸命練習してトップに登りつめたのに、すぐに新しい子に抜かれてコーチから見向きもされなくなる…なんて選手の気持ちを考えるといたたまれません。
エテリコーチは笑わない無表情が怖い?
エテリコーチが怖いと言われているのは「使い捨て問題」だけではありません。
それは、表情です。
確かに、エテリコーチはいつも無表情・鉄仮面状態で笑わない印象があります。
ロシアでは「鉄の女」と呼ばれ、日本では「ガラスの仮面の月影先生のようだ」と言われています。
練習や試合で選手を見るときは、一つの小さな動作も見逃さないような鋭い眼光を送っています。
実際に現地でエテリコーチを目にした方も「すごいオーラだった」と語っていました。
選手がノーミスで演技をしても、キスアンドクライでのエテリコーチはニコリともしません。
高得点が出ても少し笑うくらい。
この人はどれだけ高いところを目指しているのか、もはや恐怖を感じます…
でも、それぐらい心を鬼にしなければ選手をトップに持っていけないのかもしれません。
私は「笑わない=怒ってる」ということはなく、エテリコーチは本当はすごく愛がある方だと思っています。
それでなければ娘でもない子供達に、あそこまでつきっきりで指導なんてしませんよね。
きっと「まだまだこの子はこんなもんじゃない!ポテンシャルがあるんだからまだやれるわ!」と思っていることでしょう。
笑わない無表情が怖いと言われていますが、それはコーチの目標と選手への期待が高いからこそなのでしょう。
エテリコーチへの世間の反応は
使い捨てや無表情が怖いと言われているエテリコーチ。
ここではネットの反応をいくつか紹介させていただきます。
まずは使い捨て指導に関する意見から。
成長したエテリ門下の子達のあれこれを思うと本当使い捨てだなとしか思えないしな。
— へぐ (@mamedaiko) 2018年10月3日
エテリにとって選手は使い捨てなんだなあ。
— kenner_YOI (@kenner_YOI) 2018年9月11日
エテリはエテリの仕事をしてるだけだよね。クリケとは違う方法で。変わらなくてはいけない点もあるのかもしれないけど、使い捨てしてるという言い方はちょっと言い過ぎに感じる。
— ポテʕ•ᴥ•ʔ (@potecokeshi) 2018年5月8日
リプにしろメドべにしろ、エテリさんとこは成功者の経験を下の世代に速攻反映してくるからバリバリ現役中にもかかわらず追い抜かれて使い捨てみたいな事になっちゃうのはちょっと切ないね。
— Uni’18 (@m_fulminate) 2018年5月7日
「使い捨てがかわいそう」という意見もあれば、「エテリのところだけじゃない」とフィギュア界・スポーツ界全体で現代は入れ替わりが激しいことを指摘する声もあります。
エテリコーチの門下生は若い世代への技術の反映が早いため、この入れ替わりのスピードもアップしています。
しょうがないことではありのですが、選手生命が短すぎるのはファンとしては少し寂しい気持ちです。
続いては、表情についての意見を見てみましょう。
エテリは厳しいのであって怖いのでは無いと思うょ。
RT#厳しいと怖いは違う— 晴夜 (@azayakanablue) 2018年10月6日
失敗したのにエテリが笑っててむしろ怖い
— mari (@mariahirotere) 2018年3月22日
オリンピックお兄さん快挙!!😱
スマイルエテリン😄✨
エテリは厳しい人だけと怖い人では無いと思うんだなぁ。— 晴夜 (@azayakanablue) 2018年2月21日
「怖い」という声、めちゃくちゃ多いです(笑)
しかし「厳しいだけで怖くない」という意見も少数ですがちゃんとありました。
スポーツの世界では師弟関係というものはとても大事で、指導者が甘やかして選手がダメになってしまうことだってあります。
エテリコーチはコーチという立場上、徹底して厳しい姿勢を取っているだけのことでしょう。
家では優しいママであることを信じたいです…
エテリ・トゥトベリーゼコーチの指導方法とは?
「鉄の女」と呼ばれるエテリコーチは、表情だけでなくその指導方法もかなり厳しいとされています。
ここでは、メダリストを量産しているエテリコーチの指導方法を紹介させていただきます。
エテリコーチは練習が超厳しい?
エテリコーチの指導方法についての本人のコメントはこちらです。
- 練習では150%、試合では110%
- コーチは(選手のことを)いつも賞賛すべきではない
よく「試合では80%」なんて言われますが…エテリコーチは「いつでも100%以上」を掲げています。
エテリコーチの門下生は練習でも試合でも自分の限界を超えて力を出すことを叩き込まれているんですね!
ザギトワ選手がシニアデビューに向けて練習を積んでいた時には、休み無く練習を続け、曲かけ練習でジャンプを全て成功させたにも関わらず「心ここに在らずで見てて退屈」とまで言い放っていました。
また、メドベージェワ選手の練習では、普段試合では組み込まれない3連続3回転ジャンプを飛ばせています。
これも、3連続3回転が練習で飛べれば、試合で2連続3回転を飛ぶのは簡単になるという考えによるものなんだとか。
試合でベストの力を出すために、練習では常に極限状態でいさせているということですね。
エテリコーチが女子の4回転時代を牽引?
エテリコーチは「近い将来に女子の中でも4回転が必要になる」とかなり前からコメントされており、どの女子選手にも4回転を必ずチャレンジさせています。
実際に、2019年頃からはロシアの女子選手で試合で4回転も成功させる選手も出始めています。
特に、小さい子供は恐怖心がなくチャレンジをするため、幼い頃から何度もチャレンジさせて徹底的に体に叩き込む方針だそうです。
実際、エテリコーチの指導した選手は皆ジャンプに回転不足が少なく、難易度の高いジャンプも跳ぶことができると専門家から評価されています。
厳しい指導方法ですが、しっかりと結果が出ているので選手たちもコーチを信じて取り組めるのでしょう。
エテリ・トゥトベリーゼコーチは食事制限がヤバイ!?
フィギュアスケートといえば、体型維持が難しい印象があります。
浅田真央さんも泣きながら好きなものを我慢していたというエピソードがありますね。
エテリコーチの門下生たちの食事は「エテリ組」のスタッフが食事管理をしているので、エテリコーチ本人は関与していません。
しかしながら、世界トップクラスの選手を輩出するエテル組の食事制限はかなり厳しいことで知られています。
ロシア選手は、過去には水を飲む量も管理されて食事を取らずにセルロースの粉を舐めている選手の姿が問題になったこともありました。
厳しすぎる食事制限の犠牲者と言えるのは、”ロシアの妖精”と呼ばれたユリア・リプニツカヤ選手でしょう。
彼女は拒食症になってしまい競技人生を終えることとなってしまいました。
また、この頃はちょうどメドベージェワ選手が頭角を表してした時期でした。
リプニツカヤ選手は「使い捨て」のプレッシャーと厳しい食事制限でストレスが頂点に達してしまったのでしょう。
ただ、フィギュアスケートの世界で、摂食障害に悩まされるのはエテリ組だけの話ではありません。
ジャンプを跳ぶために体重を落とし、成長期も食事を我慢する選手がほとんどです。
エテリコーチの「若い内に活躍してさっさと引退するのがいい」という言葉の真意はここにありそうです。
おそらく「食事制限や厳しい練習などのつらいことから早く解放されて自由なセカンドライフを送るべき」ということなのではないでしょうか?
選手生活がつらいものだと理解しているからこそ、早いうちに活躍させてその後の人生に支障が出ないうちに引退させるという考えなのかもしれませんね。